けれど、何も聞こえてこない。


「俺の本心は聞こえた?」


「いいえ。今度はあたしの本心を聞いてみてください」


安田さんの見た目ほんとに怖いよ。


「何も聞こえてこないな」


「やっぱり……」


そう言ってあたしは眼鏡を返した。


同じように本心が聞こえる眼鏡でも、自分が持っているものじゃないと聞こえてこないのだ。


「どうしてそんなことがわかったんだ?」


安田さんの質問に、あたしはフサエさんについて簡単に説明した。


フサエさんが持っている眼鏡も同じものだ。


でも、それをかけていても他人の本心は聞こえてこなかった。