「眼鏡自体はなんの変哲もなく見えるよな」


「はい。でも、あたしの眼鏡にも安田さんの眼鏡にも『color glass』っていう文字が刻まれてるんです」


あたしがそう言うと、安田さんは驚いた顔で自分の眼鏡を確認した。


「本当だ。こんなに小さな文字をよく見つけたね」


「偶然です。ちょっと安田さんの眼鏡をかけてみてもいいですか?」


「あぁ、いいよ」


「安田さんも、あたしの眼鏡をかけてみてください」


「君のを?」


「はい。それで、遭えて心の中で何かを思ってください」


そう言い、あたしは安田さんの眼鏡をかけた。


あたしの眼鏡と同じでとても軽い。


そのまま目を閉じて安田さんの本心を聞こうとする。