「あたしもずっと洋二の事が好きだったから、すっごく嬉しくてね……」


優奈は本当に嬉しそうに笑ってそう言った。


あたしが洋二の事を好きだなんて、少しも気が付いていないのだろう。


優奈の笑顔に、優奈の声に自分の心が少しずつすり減って行くのを感じる。


聞くんじゃなかった。


話しかけるんじゃなかった。


そう思うのに、優奈のノロケ話は止まらない。


「今度の休みに初めてデートに行くの」


「へぇ……」


聞きながら、気が付かれないように奥歯を噛みしめた。


「あ、チャイムなっちゃう。早く行こう」


散々ノロケ話をした後、優奈はそう言って更衣室を出て行ったのだった。