「好きだよ、水美」
「ばか…」
「はいはい。お前は『馬鹿』と『もう!』、が好きなんだよな。よし。時間も出来た事だし…やるか!」
「…は?!」
「なに勘違いしてんの?やらしーなぁ?」
「し、してません!」
「ほら、俺の全部見せてやるって言ったろ?おいで。俺の仕事場見せてやるよ」
「て、いうか…今更なんですけどね?」
「んー?」
まだ、モコモコしてる彼女の髪を撫でると、くすぐったいのか、片目を瞑りながら、恐る恐るといった感じで言葉を続けられた。
「此処、本当に瑛飛さん一人のお家なんですか?」
「………ぷっ」
本当に今更な質問をされて、思わず吹き出した。
「一人だよ。実家出てからもう…ずっとな」
「ほ、ほんとに?」
「でも、近々一人じゃなくなるだろーな」
「?!」
「だって、お前が来てくれるだろ?」
「?!?!」
「…来てくれる、だろ?」
「…狡い」
「大人、ですから」
むくれる彼女の頭に、ぽんぽんと手を置いてから、俺はそのままベッドルームの隣の仕事部屋に彼女を招き入れた。
そこには、新商品の試作品やら、これから新開発する予定の商品の原案がそこかしこに置いてある。



