「それ、癖か?やめとけ。折角の綺麗な口唇が傷付くだろ」 そろり 窘められて触れられて。 そのあまりにも優しい仕草に眩暈が、した。 「何処もかしこも余裕でむかつく…」 咄嗟に出た言葉。 それに対して、滅茶苦茶心外だという顔をする彼。 「お前に関しては、余裕なんかこれっぽっちもない」 と、盛大に苦笑いを向けられた。 そして、また車は静かに走り出す。 着いた場所は、グルメガイドで星が3つくらい付いていた気がする、和食のお店だった。