「あれ?今日は運転しないの?」
「ん?そうだよ。折角の再会だからな。祝杯くらい上げてもいいだろう?」
「そっか。じゃあ、腕組んでもいい?」
「くくっ。どうぞ?お姫様?エスコートさせて頂きますよ」
「じゃあ、王子様…あ。皇帝様?遠慮なく」
「なんで、皇帝?」
「ふふっ。なーいしょっ」
いつか本人を前にして言ってみたかった、このキーワード。
やっぱり、思っていた通り、彼の頭の上には疑問符が沢山舞っていて、それがとてもおかしくて、笑いが暫く治まらなかった。
タクシーを拾い、乗り込んでから彼が告げたのは、私が知らない場所のアドレス。
興味津々で彼を見つめると、
「到着するまで、良い子で待っててな?」
と返された。
絶対に、さっきの仕返しだ。
そう思ったけれど、ここで押し問答をしても仕方がないので、私は黙ってシートに沈んだ。



