「とりあえず…メシ、食いに行こう?こう見えて、腹ぺこなんだ。そこでちゃんと話そう?」
「あ…うん」
気付けば、帰宅したのと同時のままで一歩も部屋の奥へと入っていなくて、私は自分の行動に今更ながらに赤面した。
彼は、ウォークインクローゼットに入り込んで、鼻歌交じりに出かける用意をする。
私は、それを聞きながら、一連の行動で少しシワになってしまったワンピースをなんとか元に戻すように、奮闘した。
そこに、宅配便が届く。
宛名は彼の名前だったから、サインは少し悩んだ後、「大原」と書いて渡した。
すると、それに気付いたのか、彼が楽しげに名前を呼んでくる。
「水美ー?」
「うん?」
「開けて見て?」
「…?はーい」
言われるがままに、宅配のお兄さんが持ってきた大きめの箱を開けると、そこには鮮やかなグリーンのワンピースが入っていた。
「これ…?」
「今まで一年頑張った水美へプレゼント。水美は、ローズも似合うけどこういうフレッシュなカラーも似合うだろうと思って。櫻井に頼んどいた。」
「…櫻井さんに?」
「そ。『勝負服になりそうなやつ』って。そしたら、これだって写メがきてさ。もう俺の一目惚れってやつ?」
「…嬉しい」
「なら良かった」
ぽんぽん
そう言うと彼は、いつものように私頭を撫で、それからまた支度をするのに部屋の奥へと戻ってしまう。
「水美も、それを着ていけばいいよ」
「うん!そうする!」
見れば見るほど、綺麗なエメラルドグリーンのワンピース。
私は気を良くして、彼の鼻歌にハモるように歌いながら、それに袖を通した。



