私は、くんっと彼のネクタイを引っ張って、キスを強請った。
「…っ。ただいま、水美……もう一回」
「それは、ちゃんと部屋に入ってから…」
ばたん
部屋のドアを閉めた瞬間、激しく求め合うキス。
髪に、額に、瞼に、鼻に…そして、少しだけ見つめ合ってから頬に口唇に。
落とされるキスは、どれも温かく甘く優しくて私は、自分でも分からない内に涙を溢していた。
「会いたかった。電話やメールじゃ、気持ちが壊れそうだった…」
彼の囁きが耳許にダイレクトに注ぎ込まれて、ゾクゾクした。
私は、それに応えるように、彼へとキスを返した。
ほら。
やっぱり、逢ってみなくちゃ…そして二人きりの空間になってみなくちゃ、分からないことだらけでしょう?
空港では、平気だと思っていたのに…。
もう、駄目だ。
彼の香りに包まれて、彼の腕の中に収まってしまえば、私は貪欲に彼の愛を言葉を求めてしまう。
「ねぇ…瑛飛さん…」
「…なに?」
「幸せだなぁって…」
「それは、俺もだよ」
噛み締める幸福。
こんなにも愛しい存在に出会えた喜びを、私はなんて言い表したらいいんだろう?
どうしたら、全てを彼に伝えられるんだろう?



