そして、迎えた彼の帰国日。
私は、グラデーションローズのワンピースを身にまとい、軽めのメイクを施して彼がゲートを潜ってくるのを今か今かと待っていた。
沢山の人がわっと飛び出してくる中で、彼の動きはとても洗練されていて優雅だった。
一瞬、彼の姿を流してしまいそうになり、私は慌てて彼の方へと歩き出した。
一年前と同じ人だとは…思えない、な。
それが、私の最初の印象。
でも、それは向こうも同じだったようで、一瞬瞳が合ってから私だと認識するまでに数秒掛かったみたいだ。
もしかしたら、このワンピースは目印だったのかもしれない。
そして、彼のネクタイに光るタイピンは、私が彼の旅立ちの日に私の代わりだと言ってプレゼントした物に違いがなかったから…ちゃんと彼を見つけることが出来たのかも…。
「水美!」
「瑛飛さん」
暫くぶりの再会に、感極まり彼は両手を広げて私を包容しようとする。
私は、そんな彼の手からするりと身をかわして、そっとその肩に身を寄せた。
ここは、日本。
ニューヨーク式の挨拶なんて、いらない。
別に、物理的距離は離れていたとしても、心の距離は離れていなかったわけだし、昨日の夜もお互いの気持ちは十分過ぎるくらいに確かめ合っていたから、私からすると今生の別れをした相手との対面みたいな認識は全く無くて、自分なりの愛情表現をしたまでなのに。
「…水美、俺がいない間に、凄いドライになったんじゃないか?」
なんて、ボヤかれた。



