「ま、ここでそんなの考えていても仕方ないよね」
そう言うと、私は小さくふるふると首を振って、その話題を頭の隅に追いやった。
別に、急ぐことなんかじゃない。
人それぞれの人生における時間軸があるんだし、未来予想図はみんな形が違うのだから。
私は、私。
今は仕事に専念して、彼とのこの距離を保ちたい。
それが、駄目だと言うならば…その時こそは彼と面と向かって話し合いをして、出来るだけ彼の意向に添えるようにしたい。
勿論、納得いくまで何度も話し合うことになるだろうけども。
「結婚かぁ…結婚ねぇ…?」
ピンとこない単語を何度か繰り返しながら、私はバスタブの中でお湯に顎の辺りまで浸かり、もうすぐ帰国する彼へと想いを馳せた。
とりあえずは…しなくてもしても、良いと思う。
相手が彼であるのならば、夫婦という形でも、パートナーという形でも、どちらでもアリだと思うから。
でも、もしもされるのであれば…プロポーズだけは、生涯忘れられないような、そんな私の歴史にバシッと残るような、そんな言葉を受けたいと…贅沢にもそう思ってしまう。



