「わー…なんか実感ないなぁ…」
アルコールの力も手伝ってか、ふわふわとした浮遊感で、最高に気持ちがよくなった。
再会したら、今の私を見て、彼はなんて思うだろう?
なんて言うだろう?
「あぁ!隈だけでもなんとかしないと!顔色悪いって怒られちゃう!」
私はメイクを落としながら、そう呟いてバスルームへと向かった。
自然と口をついて出てしまう鼻歌。
それは、会社でも同じで、お茶の時間にコーヒーと緑茶とハーブティーを同時進行で淹れながら、ふんふんふーんとでたらめな歌を歌っていた。
「セーンパイっ!」
「わ、さ、彩良ちゃん?!」
「今日は随分と機嫌いいですねぇー?」
「もぅ参ったなぁ。彩良ちゃんにはなんでもお見通しだね」
「補佐…あ。大原さん関係ですね?」
「うん。来週帰国するからって」
「おおー!じゃあ、とうとう…ですね?」
「んん?」
「あー…いやいや、こっちの話ですよ?」
にっこにっこ微笑む彩良ちゃんの言葉は偶に不思議だ。
でも、楽しそうなら、それに越したことはない。
「なんか、彩良ちゃんも楽しそうだね?」
「えぇ。私はいつでもハッピーですよ」
「そっか。じゃあ、良かったね」
にこりと笑みを返すと、彩良ちゃんは私の更に上を行くような笑みで、
「これからの方がもっと楽しみですけどね」
と、言ってきた。
何が?と聞く前に、彩良ちゃんは「仕事に戻りまーす」と給湯室を後にしてしまう。
自分の分のカップを持って。
「んー?…ま、いっか。彩良ちゃんも幸せってことで」
私はそう言うと、また鼻歌を歌いながら残りのコーヒーを自分のカップに注いだ。



