「…寂しくないの?」
彼の口ぶりは、とても痛々しい。
まるで、心が血を流してるみたいで、見ている私も両手で胸を押さえてしまえほど…。
でも、それに引っ張られてはならない。
共倒れなんて、冗談じゃない。
悪いけど、私はそんなに弱くない。
「瑛飛さん。私が…ちゃんと、女に生まれてよかったって、そう思えるようになったのは、目の前にいる貴方…たった一人の存在なんです…」
「…水美……」
彼のバックグラウンドを知れた今、私だってそれに見合うようにならなければ。
「だから。少しくらいの淋しさに負けるような、そんな程度の女なら…今すぐ此処でやめてやります。」
「え…水美?」
「瑛飛さんについていくことは、とても容易い。でも、それが私のスキルアップに繋がるかと言われたら、それは一体何%でしょう?勿論、ずっと一緒にいたいです。愛したい。それ以上に愛されたい…だけど、それは"今"じゃない…そう思うんです。私にはまだ早い…」
真っ直ぐ。
出来る限り、彼の瞳を捉えて。
私は一言一言、熟慮しながら言葉を繋いだ。
そして、この部屋にいる人たち全員をぐるりと見渡した。
そして、もう一度、今度ははっきりと言葉を紡いだ。
皆の耳にしっかりと届くように…。
「私は、日本に残ります。それが私自身の決意です。瑛飛さんには、向こうでしっかり軸を作って…そのまま幅広く躍進して欲しいと思っています」
きゅう
自分の拳は相変わらず小さく握られたまま。
だけど、さっきと違うのは……そこに彼の手が添えられたこと。



