「さ。着いた。ここだよ」
「え…?ここって…?」
「…俺の、実家」
「あー、そうなんですね…って、えぇぇっ?!」
「くく…リアクション、大きいのな、相変わらず」
私は、立派な門構えの、その高級料亭の前で、あんぐりと口を開いた。
なんで、こんな高級料亭のご子息が、あんな…なんて言うとかなり失礼だけれど…一コスメブランド会社の開発部なんかにいるんですか?!
まるで似つかわしくない関係図に、リアクションしなくて、どこでしろっていうんですか!
そんなことを叫びそうになる私の口元をやんわりと塞いで、彼はにこりと微笑んだ。
「今夜は、たっぷりと付き合ってな?」
それが、どういう意味なのか、今の私には分からない。
分からないけれど、とても怖いだろうということだけは分かった。



