「大原くんには、ルアンヌから、新設されるブランド『ラマージュ』を新転地としてニューヨークで活躍してもらうことになったんだ…。もうあらかたの話し合いは出来ていてね。今、代表の方々にこうしてお越し頂いていたんだよ。さ、君も挨拶を…」
「あ、はい、あの…」
「大丈夫ですよ。日本語は心得ています。初めましてジェイコブ・ミラーといいます。そして彼は、私の仕事のアドバイザーのレオナルド・クラーク」
「初めましてレオナルドです。どうぞ気兼ねなくレオと呼んで下さい」
「は、初めまして、私は久倉水美と申します!」
サッと握手を求められて、私は頭を下げつつその手にそっと触れる。
すぐに離そうとした手は、そのまますいっと持ち上げられ、吸い寄せられるようにして彼にキスを落とされた。
「?!」
「おやめ。レオナルド。ここは安いキャバレーじゃないんだ。日本でそんなことをしたら、完全にセクシャルハラスメントで訴えられてもおかしくない」
そう厳しい声で、ぴしゃりと彼の行為を止めたのは、ジェイコブの横…ソファーの真ん中に長くて綺麗な脚線を描いた足をスッと組んで座っていた女性だった。



