だから、好きになったんじゃないか。
垣間見えた彼の本性を、知りながら惹かれたんじゃないか。
なのに、自分はその事実から逃げてばかりいた。
過去に囚われたままで、自ら動こうともせずに…。
「私、そろそろ…諦めないと、ですね…」
ぴたり
彼に手を引かれたまま、立ち止まる。
それにつられて、彼も数歩前で止まった。
「水美?」
「瑛飛さん、どうしたらいいですか…?」
「……?」
「こんなに、瑛飛さんでいっぱいで、…苦しい…」
「…苦しいなら、おいで。受け止めてやるから」
彼の言葉は、温もりと同じで心の柔らかい場所に、そっと、だけれどもしっかりと突き刺さる。
「えいと、さん…」
ぽすん、と彼の胸に収まった私。
それをまるで壊れ物を扱うくらいの力加減で受け止めてくれる彼。
耳元で甘く囁かれる。



