そして、なんやかんやを過ごしての3時の休憩時間。
私は給湯室で、皆の自前のカップをサッと洗い流しながら、深い深い溜息を吐いた。
「はぁー…」
そこに、聞き慣れ過ぎた癒やしの良い声が、耳に流れ込んで来る。
…大きくて温かな手と共に。
「ひーさーくーらっ」
私は、また頬を摘まれるのかと思って、身をかわしながら牽制をする。
「だから!給湯室は遊び場じゃないですってば!」
「そんなんじゃねーよ、コーヒーちょーだい?濃くて熱めのやつ。俺これから会議なんだよね…プレゼンすんの」
書類の入ったファイルを指でパチン、と弾いてから彼は
、にこにこと私に笑い掛けた。
私は拍子抜けをした声で、それに反射的に答える。
「え、…あ、熱くてもいいんですか?補佐ねこじ…」
「眠気覚まし!」
「…た…あ、いやいや。…じゃあ、濃いめにしますね?」
「うん、そうして。で、そこに久倉の愛もたっぷり込めて?」
人が真面目に、言っているのに…コイツは…。



