「だからそれは誤解だって……今日の一ノ瀬さん、なんか変です」


怖かった。
僅かに手が震える。

私を上から眺める彼はこっちを見ているようで見ていない。


「お前今日、何かあったら言って下さいって言ったよな?」


突然そんなことを言い出した一ノ瀬さんは不敵に笑った。
 

「あったから俺も慰めてくれない?朝比奈さん」


耳もとで甘い声を注がれて、かあっと顔が熱くなる。

慰めるって……!


「な、何言ってるんですか」

「身体で慰めてくれって言ってんの」


一ノ瀬さんがネクタイを乱雑にはずす音が響く。ネクタイをベッドに落とすと、彼は私の顎をぐいっと持ち上げて強引にキスを落とした。

「……っ、んん!」


噛みつくような荒々しいキス。


「んぅ、……ゃ」


抵抗しようと出した手は一ノ瀬さんによって捕らえられ、ベッドに縫いつけられる。


「ふ、んぅ……」


角度を変えて啄ばんで、それを繰り返す彼のキスは酸素を取り込む暇さえ与えてくれない。


くらくらする。もう、なにも考えられなくなる。