その時だった。


三宅先輩と同じクラスだった生徒たちが廊下を歩いて行くのが見えた。


これから葬儀に参列するのだろう。


みんな真剣な面持ちで、中には泣いている生徒もちらほらいる。


学校内で恐れられていた三宅先輩も、ちゃんと友達はいたみたいだ。


クラスメイトの中には一緒にタバコを吸っていた冨部先輩もいて、冨部先輩はジッと地面を睨み付けるようにして歩いて行った。


そして……「あっ」古家先輩を見た瞬間、俺は思わずそう声に出していた。


その声が聞こえたのか、古家先輩が顔をあげこちらを見た。


少し潤んだ瞳にドキッとして、キスをした時の柔らかな唇を思い出し体がカッと熱くなった。


古家先輩は俺を見て少し目を見開いたけれど、そのままスッと視線をそらし歩いて行ってしまった。


先輩にとってあのキスはなんの意味ももたないものだったのかな……。


ふとそんな事を考えてしまい、ブンブンと首をふった。


俺が好きなのは風花だ!


古家先輩なんて関係ない!!