例の事件ーーー城津が澪和を襲った日から二日が経った。

未だに城津は学校に登校していない。



「城津くん、大丈夫でしょうか?」



少し涼しい風が通り抜けていく伝統部の部室。

パイプ椅子で船をこぎながら、桐神が心配そうに呟いた。



「ほっとけ、あんな奴」



そう言う西条は奥の畳の上でゴロゴロしている。



「…まぁ、熱が上がったんだろう」



寝転ぶ西条に冷たい視線を送りながら御影が答える。



澪和は気が気じゃなかった。





私があの時、一人で城津先輩のお家に行かなかったらーーー





全てがそこから始まったから。


暗い表情を浮かべている澪和に気付いたのか、桐神が近寄ってくる。



「海空さんは気にする必要ないですよ」



肩にポン、と手を置き微笑みかける。