「此処か…」
風の吹き荒ぶ音の中に、凛と響く馬の蹄の音。
その馬に乗ってこの場所へ訪れたのは、他でもないバチカンからの命令の為だった。
凛音は、広場の丁度真ん中辺りまで、馬を歩かせると、崩れた教会らしきものの上を見つめながら、そう呟いてまた視線を前に戻す。
大きなマントに包まれた身体は、とても細く華奢な感じがするが、その艶やかな黒髪と、切れ長の瞳には形容のし難い何か、特別なモノが宿っているようだった。
凛音はもう一度、教会の…今度は圧し曲がった十字架の方を眺め、強い口調で呟く。
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