そんな感情を拭い捨てるようにしながら、ノワールの笑顔に抱きしめられるようにして毎日何かに取り組んでいた。


せっかくここまで楽しく生活できる場所を見つけたんだから、今はここで楽しめばいいのよ。


でも……本当にそれは正しいことなの?


拭い捨てても自問自答は繰り返されるばかりで、本当の自分の答えは未だに出せぬまま。


本当は分かってるその答えを、私は出したくないんだ。



『お嬢さん?』



はっと我に帰ると、心配そうに顔を覗くノワールの顔が目の前にあった。


慌てて笑顔を作るけれど、ノワールはそれを見逃さない。


すかさず顔を逸らさないようにと、私の頬を両手で包み込む。



『浮かない顔しているけれど、どうかしたの?』


「ちょっと眠たくて」


『……本当に?』



疑い深いノワールに笑って見せるけれど、ノワールの疑いは晴れないようでいきなりぎゅっと抱きしめられる。



「ノ、ノワール?」


『俺、お嬢さんのそんな顔見たくない』


「っ……」



そう言って優しい温もりを私に伝えてくる、あなたに私はきっと……


いや、こんな感情抱いた所で私達は結ばれるわけないんだから。


ドキドキと高鳴る心臓を抑えながら、私もノワールの背中にゆっくりと腕を回した。