一面草原が広がったこの場所では、のんびりと過ごすドラゴン達が横になっていた。
ゆっくりと近づくと、目が合い尻尾の先を振りながら手招きされた。
ノワールと顔を合わせてそのドラゴンの元へと近づいた。
『どうやら歓迎してくれたようです』
「良かった。これで拒否られたら乗れないもの」
ぺこりと一つお辞儀をすると、ドラゴンもゆっくりと体を起こした。
すると奥の建物から男性が歩いてきて、ノワールはその男性に向かって手を振った。
「久しいな、ノワール」
『ご無沙汰してます、グレイア所長』
そう言って挨拶を交わす2人を交互に見ていると、グレイア所長と呼ばれた男性が私に気づいて会釈をして来た。
「ノワール、この方は?」
『俺の依頼主です』
「ほう。また可愛らしい方をお連れして来たな」
慌てて私も口を開き、ぺこりと一つお辞儀をする。
「初めまして。えっと、咲と言います」
「サキか。私はここ、ドラゴン育成所の所長を務めているグレイアという。よろしく」
笑顔で迎え入れてくれているということに安心していると、ノワールが私の肩をぽんと叩きながら間に入るように話してきた。
『所長、そこのお嬢さんの願いでドラゴンに乗せてもらいたいんだ』
「ドラゴンにか?別に構わないが……見かけに寄らず活発なお嬢さんなんだな、サキは」
あ、まずい変な子だと思われた??
なんて考えるよりも先にノワールが私の手を引いて、ドラゴンの元へと走り出す。
『許可はいただいた事だし、早速乗り心地を体験してみましょうかっ!』
「えっちょ、ノワール!!」
急にお姫様抱っこをされたかと思いきや、そのまま宙に浮かび上がり先ほど目があったドラゴンの背にストンと乗り込む。



