寄り道しながら街へと戻れば、またしてもノワールに急に引っ張られノワールの胸へと閉じ込められる形になる。


その原因は確か……と考えながら、吹き荒れる風に髪を弄ばれながら私は犯人を見つめた。


見習いのドラゴンは今日も今日とて叱られながらも、お仕事をこなしていた。



『もう少ししたらあの子も一人前になれるでしょうね』


「ノワール、次やりたいこと見っけ!」



ドラゴンに向かって指を指しながら、期待を込めた視線をノワールに送る。


察したノワールは、嘘だろとでも言いそうな顔で私を見つめる。


これはノワールを困らせるのには中々にいいものだ。


困らせるつもりはないけど、そんな彼の顔を見るのがいつの間にかハマってしまったようだ。



『前も言いましたけど、ドラゴンの操縦って難しいんですよ?』


「やってみないことには分からないもの!」


『お嬢さんには本当に敵わないなあ……』



仕方ないと重たい腰を上げるかのように、ノワールは私の手を取りゆっくりと歩き出す。


仕事中のドラゴンに頑張れ〜とエールを送るようにして、手を振るとドラゴンは私を見て嬉しそうに小さく吠えた。


人で賑わう街の中を歩き、たどり着いた場所は厳重な門で囲まれたとある敷地。


門番と話し合うと、いとも簡単に中へと入れてくれたかと思えば強い風が吹き荒れては何かが上へと飛んでいく。


ゆっくりと目を開ければそこにはたくさんのドラゴン達が並び、興味深々で私達を見つめていた。



『ここはドラゴンの育成所。育てたドラゴン達を一人前にするべくここで訓練させるんです』


「この子達に乗れるの?」


『この子らはまだ半人前なので、人を乗せての空の旅は難しいので奥のドラゴン達の所へいきましょう』



ドラゴン達に挨拶をして歩くノワールに続き、ドラゴン達がいる道無き道を前へと進んでいくと、落ち着いた場所へと出た。