向かった先は鍛冶屋らしき場所で、私は中に入ることなく店の前で待っているとすぐさまノワールはぶきを手にして戻ってきた。
なんという準備の良さなんだろうと感激していると、ノワールは小さく笑って私に武器を手渡した。
『女の子なんですから、怪我するような事は本当はさせたくないんですけど』
「私の小さな冒険だと思ってよ」
『ここは片目つぶっておきますよ』
いつの間にか乗り気になっているノワールと共に、街の大きな門をくぐり抜け舗装されていない道無き道を歩いていく。
どこからか来たであろう旅人達に会釈しながら、ワクワクする心を抑えきれずに鼻歌を歌う。
時折吹き抜ける風と共に、風の精霊達が輝く透明の羽を羽ばたかせて宙に駆けていく。
美味しい新鮮な空気を肺いっぱいに取り込みながら、街から遠ざかるように歩く。
大自然に囲まれたこの街はつくづくいい街だと関心していると、ノワールが私の前で構えた。
『お嬢さん、現れましたよ』
そう言われてノワールの後ろから前を覗き込むと、居ました居ました、あれはあれですね、スライムですね!!
知ってるモンスターにテンションが上がる私に対して、ノワールは少し険しい表情だ。



