お腹の虫を落ち着かせた後、全ての準備が整い宿を出て街中を探索して回った。
この街の特色に直接触れながら、あれやこれやと楽しむものがたくさんで目移りがすごい。
街の伝統のガラス細工だったり、衣装なんかも身にまとってノワールと一緒に大笑いしながら歩いた。
本当にこの世界には私が知らないものがたくさん詰まっていて、飽きることはない。
のんびりしつつも買い物を済ませた後、私はふと掲示板に貼られた紙をじっと見た。
文字は読めないけれど、そこに描かれた冒険者であろうそのイラストに私は一つ閃いた。
「ねえ、ノワール!私もダンジョン攻略してみたい!」
『ダ、ダンジョン攻略ですか?』
「異世界って言えばまずはそれじゃない?」
よくゲームとかアニメとかこういったファンタジーチックな世界になら、ありがちなものの代表だと思っていたのだが。
困った顔をしつつ私を見つめるノワールからして、あまり賛成できるようなものではないのだろうか。
『申し訳ないんですが、お嬢さんにはそういう力がないので……出来るかどうかというと』
「なるほど。魔力とかそういうのがないから無理ってわけかあ」
『でもある程度の装備を揃えれば、下級の魔物退治だったら近くの草原で出来ますよ』
「それ!それがしてみたい!」
子供のようにはしゃぐ私を宥めるように、ノワールは私の手を引いて歩き出す。



