さて、と……次は現在地だ。
見知らぬ部屋に、ファンタジーチックな空飛ぶあの鱗が生えた大きな生き物はドラゴンだと思う。
そのことから、ここは……日本ではなく別の世界でーー
「お嬢さーん!朝ですよー」
頭の中を整理している途中で部屋の扉がノックされて、返事もできずに固まっていると扉はゆっくりと開いた。
中に入ってきたのは銀髪の顔の整った綺麗な青年で、湯気が立ったティーカップ片手に私の元へと近づいてくる。
こんな人が私に一体、何の用だ??
「窓開いてるのを見ると、ドラゴン達の仕事の音で目が覚めたって所ですかね?」
そう言って手に持っていたティーカップを私に差し出してきて、一つ笑った。
「えーっと……?」
「ははーん、その顔はまだ昨日のお酒の酔いと、魔法が解けてないな?」
お酒に魔法のその単語を聞いてもピンと来ないままでいると、青年はティーカップを棚の上にひとまず置いて、私の前に立って指をパチンと鳴らす。



