消えたい、その願いは別の形で叶って結果的に自分をプラスの方向へと導いた。

隣にいるノワールによって。

でもノワールの仕事は本当に利益が何一つないと言うのに、どうやって生活費を賄っているんだろう。

前に聞いた時は企業秘密だって言われたけど、もしかして怪しいのに手を貸していたり……なんてね。

そんな人がこんなにもとことん親切に、誰かと向き合おうとはしない。

最初はおかしな人だと思っていたけれど、関わっていくうちに見方が変わった。

自分に自信がなかったけれど、短い時間の中で自分の本当の姿に向き合うことができた。

それは紛れもなくノワールのお陰だ。



「ノワール……あのね私、自分自身が大嫌いだった。それは誰かの評価でしかなくて、自分の事がよく分かんなかった」



彼に言われた言葉をズルズルと引きずり続けて、自分の評価はこれっぽちしかないと自分を蔑んでいた。

それでもここで新しい本当の自分と出会って分かった、私は私でいいんだと。