これには流石にビックリして辺りを見渡すと、いつの間にか見知らぬ景色が広がっていく。
泡のように弾ける玉は、みるみるうちに景色を変えた。
寒かった空気はあっという間に消え、ふわりと体が軽くなる。
頬を抓ってみても確かに痛いことから、夢ではないようだ。
「ここ……一体どこ?」
『さっきも言ったが、180度と太陽三周――』
「もっと噛み砕いて言ってくれる?」
『んー、そうだな……ひん曲がった世界の隙間、とでも言えば伝わります?』
「全然伝わんない」
『そりゃあ、こちらにとっては好都合だ』
キッパリと言い放ったというのに、ノワールと名乗る男はどこか嬉しそうだ。
少し変わった人……いや、かなりおかしな人なのだろう。



