ただ言えることは、もう貴方のものじゃない。
私は私らしく生きていく。
林を抜けて噴水の水の流れる音が遠くから聞こえてくる。
ここに来たということは、目的地はきっとあそこ。
慣れた足取りで進み子供達の遊具で遊ぶ横を通り抜け、池で油絵を描く人々を遠巻きに眺め、さらに奥へと進むと小さな丘に出た。
知る人しか知らないこの公園の隠れスポット。
彼が私に教えてくれた秘密の場所だったけど、秘密というものは簡単に人に広がるらしい。
丘をゆっくりと登りこの町を見渡していると、丘の奥のベンチから楽しそうな笑い声が聞こえてきた。
やっぱりそこにいたのか、まあ分かりきってたことだけど。
迷いも戸惑いもなく足はしっかりと二人のいるベンチへと進んでいく。
わざと二人の視界に入るように進むと、私を見つけた彼の瞳は動揺を隠しきていない。
「久しぶり。あれ?今日仕事休みだったんだね」
いつも通りの声で、いつもと変わらない私で彼の前へと移動した。



