少し苦しくなる胸を消すようにノワールが背中を撫でてくれた。


『俺はここで待ってます。お気をつけて』


「ありがとう、行ってくる」


これ以上ノワールに抱きしめられていると、甘えて行くに行けなくなってしまう。

自ら胸から剥がれるようにして距離を取って、もう一度笑顔を向けた。

同じように笑顔を向けてくるノワールから勇気を貰い、背を向けて歩き出す。

風に靡く髪は国一番の美容師のシェーレさんに切ってもらった。

似合わないと思い込んでいたグレーのワンピースは布が私を選び、クロレさんが仕立ててくれた。

胸元で輝くネックレスは、ノワールが私に似合うと選んでくれた。

こんなにも変わった私を見て彼はどう思うのだろう。