音もなく降り始めた雪を見つめながら真っ白な息を吐き、微かに上がった息を整えながら歩調を緩める。

誰もいないこの静かな道は、一人ということを余計に突きつけてくる。

泣きたくなんかないのに、堪えていた涙がじわりと滲んだ。

冷たく吹き付けてくる風のせいで、徐々に心が凍りついていくのが分かる。


いや……これは寒さのせいなんかじゃない。


飛び出して来たお陰で、身につけてきたのはコートだけ。

マフラーも手袋もない状態で、こんな真冬の空の下に飛び込んできてしまったのは、そもそもあいつのせいだ。

信じていたのに、どうしてこんな結末を毎回辿らなきゃ行けないんだろう。



「どうしたらいいのか……分かんないよ……」



ぽつりと小さく呟いても、その言葉は誰の耳にも届くことなく消えていく。

もう誰にも必要とされていないのではないかというマイナスの考えばかりが浮かんで足に力が入らなくなって、薄ら雪の積もった道路のど真ん中でしゃがみ込んだ。