少しからかってみれば、すぐに頬を赤く染めるハル。



こんな顔、他の奴には絶対に見せたくない。



俺だけのものにしたい。



そんな気持ちを抑えながら、ハルとふたり、夜道を歩く。



「夏くん、私の家そこだから。わざわざ送ってくれてありがとう」



「どういたしまして」



帰り道はあっという間で、もう着いてしまったんだと少し残念に思う。



もっと話していたかった。



ただ、今まで見ているだけだった俺は、こうしてハルと話せていることが幸せだ。



「そういえば、夏くんの家ってどこなの?」



「あー、電車に乗って3駅先」



「えぇっ!?」



「そんな、送ってくれなくても良かったのに……!」



「ハルともっと話したかった」



「え?」



「ハルと一緒に帰った理由。それじゃダメ?」



クサイセリフを言っている自覚はあるけど、それが本心なんだから仕方ない。