そしてその日はやってきた。
たまたま先生に呼び出しをされていて、少し帰りが遅くなった日。
職員室での用事を済ませて、教室に戻ろうとしていると、俺の隣を走って行く奴がいた。
……ったく、危ない奴。
そう思ったのもつかの間、目の前で男と女がぶつかってプリントが宙を舞っていた。
これは酷い。
「……いったぁ」
そう言って腰をさすっている奴が誰なのか、声ですぐにわかってしまった。
ハルだ。
……大丈夫かよ。
すぐに駆け寄るのもどうかと思って自重していたけど、
「あ、ごめんね!」
とただ謝って、プリントを拾う手伝いもせずその男はまた走り去って行った。
取り残されたハルは、1人で散らばったプリントを集めていて、見ていられなくなった俺はハルに声をかけた。



