「それ、逆効果ね」 「……なっ」 私は睨んだというのに、夏くんは笑って私の頭をくしゃくしゃと撫でた。 そうして、ほら行くよーなんて。 「髪の毛、ぐしゃぐしゃになっちゃったじゃん!」 文句を言いながらも、置いていかれないように先を歩く夏くんを追いかける。 「どんな格好してても、ハルは可愛いからいいんだよ」 「……」 もう、調子が狂う。 何を言っても、一枚上手で返されてしまうから全然勝てない。 いつか絶対にぎゃふんと言わせてあげるんだから。