夏くんは急かすことなく、ずっと待っている。
ちゃんと待ってくれる夏くんは優しいけど……
こんなことやらせる夏くんは意地悪だ。
決心した私は、触れるか触れないかの距離で夏くんの首にマフラーを巻く。
わっ……
巻き終えて見ると、やっぱり似合ってる。
そんな姿に思わず見とれてしまう。
「夏くん、でき……っ」
「へへ、隙あり」
「ばかぁ……」
だから嫌だったのに。
私が離れようとした隙に触れた唇。
12月で寒いはずなのに、体が熱い。
夏くんのせいだ、ばか。
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