『ハトとたわむれてるハルの方がかわいいよ、もう』



「かわいいのは詩乃だよっ!」



『だから、違うんだってばー』



「あーぁ、ハト行っちゃった」



少し離れたところでおばさんが餌やりをしていて、せっかく集まっていたハトがみんな行ってしまった。



ちょっとそれはそれで寂しいかも。



「……っ!?」



『ハル?どうかした?』



「な、夏くん来たっ……」



遠目で見るだけでかっこいい。



そんな姿を見ていると、バチッと目が合ってしまった。



あっ……バレた。



ここにいるのがバレちゃった。



そう思った瞬間、反対方向に走り始める私。



無理無理、ドキドキしすぎて会えないよ!



『ハルっ!?』



「逃げるっ!」



『えっ?』



運動部だった私の脚力をなめちゃダメだよ。



クラスの中でも走るのは早かったんだから!



夏くんは最初追いかけられそうになったけど、途中から歩いていたようですぐに距離をとることが出来た。