「夏くんっ!」



上靴を綺麗に下駄箱にしまう時間さえも勿体なくて、きっと朝学校に来て開けたら酷いことになっていそうだけど……



それくらい早く隣に行って声をかけたかった。



「あ、ハルおかえり。お疲れ様、大丈夫だった?」



30分も生徒玄関で人を待ってる方が疲れるのに、それでも顔を覗き込みながら優しく微笑んで頭をポンポンしてくれる。



「ありがとう、私は大丈夫だよ?」



星野先生に呼ばれて、ちゃんとバイバイもできずに行ってしまったから、心配してくれていたんだろうか。



本当に夏くんは優しさの塊だと思う。



神様、ううん……仏様みたい。



そんな夏くんの隣にいると、どんな疲れも吹っ飛んじゃうし、とっても安心する。



「帰ってていいよって言ったのに……こんなに待たせちゃってごめんね?」



「なんでハルが謝るの?俺がハルと一緒に帰りたいから待ってたの」



そうやって……



そんなところをまた好きになっちゃうんだよ?



夏くんは全然わかってない。



「暗くならないうちに帰ろ?」



「うん」