「頑張れ、夏くんっ」
ハルの声だ。
声のした方を見てみれば、俺のことをまっすぐに見ているハルがいた。
ったく、今は自分のクラスを応援するべきじゃん?
俺と今接戦で、1位か2位かって重要なとこなのに。
「見てろ」
「……っ」
そんなこと言われたら……
そんなふうに応援されたら、俺だって頑張っちゃうじゃん。
だからハル、俺のこと見てて。
いや、目が離せないくらい釘付けにしてやる。
そう思えば自然と力はみなぎってくる。
きっといつもより早く走っていたし、障害物も難なく軽々とこなし、少しでもカッコつけたくて宙返りなんてしてみた。
周りの歓声なんてどうでもいい。
ただ、ハルにだけ見ていてほしい。
他の誰でもない、俺のことだけを。



