「バカは風邪ひかないって言うから大丈夫。俺バカなんでしょ?」
「違うもん……」
「じゃあ好き?」
「あーっ、もうやっぱりばかっ!」
夏くんが風邪ひいても、お見舞いなんて行ってあげないんだから……!
とは言いつつ、実際そうなったら心配でいてもたってもいられないんだと思う。
「あ……」
「え?……うそっ」
夏くんがそう呟くのと同時にパラパラと雨が降り始めた。
天気予報の嘘つき……!
まだ小雨だけれど、光を遮るように厚くどんよりした雲は、さらに雨を強く降らせそう。
「夏くん、雨酷くなりそうだから今日はここでいいよ!」
「傘もないし……仕方ないね。ハル、気をつけて帰れよ」
「うん、夏くんもね!」
名残惜しさがありつつも、このままだとふたりともべしょ濡れになりそうで、早々に解散することにした。



