「またね、ハル」
「うん、またね夏くん」
また学校に行けば会えるのに……
なんだかとても寂しくなる。
「あ、忘れ物」
「……んっ!?」
「前はおでこにしかできなかったけど……いいでしょ?じゃあね」
……っ
最後の最後まで夏くんは。
前に初めて家まで送ってくれたときは、おでこへのキスだった。
でも今日は違う。
柔らかい唇同士が一瞬だけ重なって、それだけで寂しい気持ちなんかどこかへ飛んでいってしまった。
夏くんはまるで、私のことを幸せにしてくれる魔法使い見たい。
しばらく私は放心状態で、夏くんの遠ざかっていく背中を見つめていた。
そして、たまに後ろを振り向いて手を振ってくる夏くんに、やっぱり私はドキドキが止まらなかった。



