繋がれたその手に向けていた視線をゆっくり上にあげると、私とは真逆の方向を見つめていた。
「夏くん、どうかした?」
「……っ、いきなり素直になるとか反則だから」
「素直?……反則?」
夏くんが何でそんなことを言っているのか、よくわからない。
「可愛すぎるってこと」
「なっ、可愛くないもん」
夏くんは解説してくれたけど、もっと意味がわからない。
第一、私のどこにそんな可愛い要素があるのかわからない。
夏くんも詩乃も。
ふたりして、どうしてそうなるのかな?
それに……
「可愛いのは詩乃だよ!」
可愛いのは私じゃなくて、詩乃。
詩乃にいつもこう伝えてるのに、全然認めてくれないんだ。
「今俺は彼女に言ってんの」
「っ、ばか」
そうやって意地悪ばっかりしてくるんだ。
私が困るのをわかってて。
「本当にハル、可愛すぎ」
家までの距離はあっという間で、夏くんと話していたらすぐに着いてしまった。
緊張する、ドキドキする。
でもやっぱり、夏くんと過ごす時間は楽しくて、幸せで……
もっとこの時間が続けばいいのにと願ってしまう。



