夏くんと帰る帰り道。



いつも毎日歩いて、通りなれた道なのに全然知らない道を歩いているかのように思えてしまう。



それくらい落ち着かない。



「ハル、緊張しすぎ。そんなにドキドキしてんの?」



「……するに決まってるじゃん、ばかっ」



もう、ばかばかっ。



好きな人と隣に並んで歩いてるんだよ?



本当なら、今すぐに離れたいくらい。



それじゃなきゃ、私の心臓がもたない。



ただし、夏くんはそれを許してはくれない。



ついさっき、ササッと距離を取ろうとしたら、手を握られて「逃げるの禁止」と微笑まれて、私は無事夏くんに捕まってしまった。



ドキドキするのに、触れ合うその手からすごい熱を帯びているのに……



それが心地よくて、幸せで振りほどけない。



むしろ、ずっとこうしていたいと思ってしまう。