「顔真っ赤にしちゃって……本当に可愛いんだから」



「だから、そんなことないんだってばー!」



詩乃が変な事言うから、また意識しちゃうじゃん。



昨日家に帰ってからも頭の中は夏くんのことでいっぱいで……



お風呂に入っても、布団の中に入っても、朝起きても、そして今も。



それは授業が始まっても同じこと。



ただでさえ頭に入ってこない授業が、さらに入ってこない。



暇つぶしにしているラクガキにすら身が入らない。



はぁ、と声にならないため息をつく。



気づけば首を横に回して、視線の先には隣のクラスの夏くんがいる。



姿を見るだけで胸がドキドキと音を立て始める。



すると、パチッとぶつかる夏くんとの視線。



夏くんは先生が前を向いているのを確認してから、トントンとスマホを指さした。