うん、何も無い。



私の怪我に気づいてくれて、手当もしてくれて……



そしたら、何故かベッドに押し倒されて……



って!



そんなことない。



うん、あれは夢だ。



そうは思うけれど、思い出せば出すだけ、おでこへのキスの感触が蘇ってくる。



なんだか急に恥ずかしくなって、ばっと手でおでこを抑えてしまう。



「ふーん、これは何かあったな?」



「ないもん!何もないんだからっ」



「わかったわよ……何も聞かないであげるけどさぁ。付き合ったって報告ぐらいはして欲しいのに……」



……?



んんっ!?



「へっ……詩乃、なんか勘違いしてない?」



「ん?何のこと?」



「その……夏くんとは付き合ってないよ?た、ただの委員会が一緒な男の子で……」



そうだ。



それ以上でもそれ以下でもない。