「あら、どうしたの?」



ガラリとドアが開いて入ってきたのは、不在だった保健室の先生。



ちょうど今、戻ってきたところらしい。



「美風さんが足を挫いたみたいで湿布を貰いに」



「そうだったの。ちょうど本部に行っててごめんなさいね。美風さん、大丈夫?」



いつもハルって呼んでいるのに、私のことを"美風さん"と呼ぶ夏くんに、チクッと寂しさを感じる。



「……大丈夫です。夏くんに処置してもらったので」



夏くんのせいでおかしくなっちゃった。



「それならもうすぐ閉会式も始まるし行ってらっしゃい」



「はい。戻ろう」



「うん……」



ねぇ、この気持ちは何なの?



教えてよ、夏くん。



私がこの気持ちに気づくまで、もう少し。