ちょうど折り返しにきて、詩乃にバトンが回る。
私はその様子を見届けながら、トラックのラインについた。
「詩乃ー!」
「ハルー!!」
ギリギリ粘って2位で回ってきたバトン。
詩乃からしっかりとバトンを受け取って、走り出す。
1位のB組まであと少し。
少しでも差を縮めて次に渡すんだ。
コーナーをまわって次の人が見えてきた、その時。
「あ……っ」
トラックに撒かれていた砂に滑って足を取られてしまう。
転んでしまいそうになったけど、あと少しなんだ。
バトンだけは回さなきゃ。
「はいっ!」
そんな意地で走り抜けて次の男の子へバトンを渡す。
「はぁ、はぁっ」
少しくらいは差を縮められただろうか。
少しでも力になれてたらいい。



