「ふあぁっ……」



『ハル、もう眠い?』



気づけば日付も変わり、瞼も重くなる。



「ううん、眠くないよ?」



ただ、もう少しこのまま……



そう思っている自分がいて、この電話を切りたくなかった。



「夏くんっ……」



『なーに?』



段々と閉じてくる瞼を止めることなんてできなくて……



その電話で最後に交わした言葉なんて覚えていない。



そのまま私は、夢の世界へとおちていった。



だから、私は知らないんだ。



この電話の向こうで……



『なんなの……ハル、俺を殺す気なの?』



『ねぇ、お願いだから……勘弁してよハル』



顔を手で覆いながら悶えていたことを。