「それで?何しに来たのよ。魔法陣のことを知ってるところを見ると、魔法界から?」

「あら、鈍い娘。ここにいる時点で分からないなんてね」

「そりゃ、失礼しました。じゃあ、名乗って頂けますか?」

「いいわ。私は・・・・・・まあ、黒魔法っていえば分かるかしら?」

「でしょうね」

この状況下でわからない人、いないと思うよ?バカにするなぁっ!

「で?本名は?」

「あらやだ。そんなことまで言うと思ったの?」

「でしょうね」

ま、言うわけないか。

「本題に入るわ。何しに来たのよ」

「決まってるじゃない。貴族のご令嬢達を攫いにきたのよ?」

「みんなを?!」

えええっっっ!!!わ、わわわわ私危険人物と話してたの?!

「そんなことさせないよ?」

冷静を装って挑発するように言った。

「手応えありそうねぇ。その時はその時で、楽しみにしているわ。それじゃあ、これでね。teleport」

女性は光に包まれ、消えていった。

「これ、ヤバイじゃん」

見たところ私は狙われてない、かな?なら、私がみんなを守る。

第一王女として、みんなの、友達として。

『我が身を投げ打ってでも、守り抜く覚悟を持ちなさい』

誰かの声が、とても懐かしい声が、聞こえた気がした。