「ここで、なにが・・・・・・」

頭を抱える。ここで誰かを見たわけでもないし、何も見てはいない。困った。

帰るしかないかな?いやいや、それじゃあここに来た意味ないしっ。

足を踏み入れた、その瞬間─

カタンッ

「っっ?!」

床に魔法陣が展開された。これは・・・・・・転送の魔法陣!

「もうっ」

急いで地を蹴って部屋の外に立つ。私が離れると、魔法陣は音もなく消えた。

「なんで?なんでここに魔法陣が・・・・・?」

「あら、それは愚問ね」

私が疑問を口にした時、背後から声がした。ヤバイ、背中を取られる!

急いで振り返ると、真っ黒いローブを全身に纏った女性らしき人が仁王立ち。

んー?この声、どこかで聞いたよーな聞かなかったよーな・・・・・・

「反射神経、流石ね。あの魔法陣には魔力が強い人だけに反応するの。あなたってドジって聞いてたから上手くいくと思ったのに」

残念、と零す女性。いやいや、ちっとも洒落になりませんって。