「別に、構いませーん」

「へ?きゅ、急にどして・・・・・・」

「いいからいいから」

そして、ちらっと花音の腕についている(今気づいた)腕時計に目をやる

くぅぅ・・・・・・首がー

ええと?午後2時・・・・・・32分くらい?

まだ日没前!

「じゃあ、皆、頑張ってね。怪我しないでね?teleport」

「ちょっと待ってよー」

私の叫びも虚しく、花音は私を連れてテレポートしてしまった

光に包まれ、そして───

「目、開けていいよ?」

「んん?」

そっと目を開けてみる。病室より二回りほど大きい部屋。ここは?

「ここはね、診察棟の二階にあるナース部屋なの」

「ナース部屋?」

「うん。まあ、ナース待機所、かな?」

「へぇぇ」

っていうか、ここに診察棟とかもあるんだ。まあ、病院だし当たり前か。

グレーの長机に背もたれのあるローラー椅子。ほら、コロコロって移動できて、くるくるって回れるヤツ。それがいくつもあった。

「ここ、すわろ?」

「はーい」

腕の縄を掴まれたまま、私たちはテレポートしたところから近い椅子に腰掛けた。お、意外に長いね、縄。

「ところでさ・・・・・・」

「なあに?」

「上からの命令ってなにー?」

「へ?」

不意をつかれたように、花音の肩はビクンと飛び上がる。

ふふん。ごまかせると思うなよ!

「ええと、私、そんなこと言った?」

「はい。ちゃんと!」